7分間スベりバナシ
即興物語対決
先日ライブ制作会社K-PROが主催する『トッパレA』というライブに出させていただいた。『トッパレA』はお客さんの投票で1位を決めるネタバトルライブで、全組のネタ終わりに企画コーナーがある。その日の企画が『即興物語対決』といって、5人1チームとなり前半の3人がリレー形式でオリジナルの物語を即興で朗読し、最後の2人がその物語のオチを即興コントで披露するというもの。僕らのチームが
ランジャタイ国崎さん
Aマッソ村上さん
ペンギンズアニキ
トンツカタン菅原
トンツカタン森本
という、『揚げ物だらけ』みたいな胃もたれするメンツだった。この時点でとてつもなく嫌な予感はしていた。
「ひとりでやりなよ」
そしていざ我々チームの出番となり、まずは順番を決めることに。この企画はとにかく後半の即興コントの部分が鬼門なので、全員が朗読側に回ろうとするという『人間の醜さ』を舞台上で見せているとランジャタイ国崎さんが
「コントは森本くんがひとりでやりなよ」
こいつやりやがった。『名案のトーン』でとんでもないこと言ったぞ。しかしこれは企画のルールに反しているし、もちろんそんなの受け入れられるはずがないと思ったらMCのドドん安田さんが
「ではコントは森本くんがひとりでやるということで!」
なぜかお客さんからの拍手が巻き起こった。『全員グル』なのか?こうして4人朗読、1人コントという変則的な編成で僕らの挑戦が始まった。
朗読パート
トンツカタン菅原
ペンギンズアニキ
Aマッソ村上さん
の順番で朗読された物語。その内容を要約すると
『細長い貝を持った太鼓の達人がある日知り合った女性を抱く』
どうすればいいんだよ。このコントどっから取りかかればいいんだよ。しかし最後にランジャタイ国崎さんの朗読が待ちかまえている。ここである程度の道筋を作ってくれればだいぶ楽になる。そう願いながら国崎さんの朗読が始まった。
「私は私と、はぐれる訳にはいかないから。いつかまた逢いましょう。その日までサヨナラ恋心よ~」
ただただ気持ちよさそうにポルノグラフィティの『サウダージ』を歌って終わった。こいつに一縷の望みをかけた僕がバカだった。こうして史上稀にみる最悪の物語ができあがった。
即興コント
そしてついにやってきた僕の即興ひとりコント。この物語にオチを付けろという無理難題。しかし僕もまがりなりにもプロの芸人だ。こうなったら大爆笑で終わらせてやるという思いを胸に臨んだ。
ひとまず僕は細長い貝を使ってゲーセンの太鼓の達人でサウダージを叩くというところから始めた。ウケず。
それを見守るひとりの女性。彼女を追いかけ、太鼓の達人の筐体を5周するという恋愛模様。ウケず。
そんなこんなでその女性を抱いたら様々な性病を持っていたという大どんでん返し。ウケず。
記憶にはないがそれ以外にもいろいろやったと思う。そして最後にやった『性病にかかった途端、皮肉にも太鼓の達人でフルコンボを達成する』というオチでようやくウケた。ここまでにかかった時間、7分。『サウダージ1曲半分』である。これはもうウケたというより、お客さんがギブアップしたという表現が近い。
こうして満身創痍になりながら企画が終わった。ふと国崎さんを見ると、罪悪感と不安から『大量の発汗』をしていた。ちゃんと根はいい人だった。
次リベンジできる機会があるならば、
サウダージ1曲分までにはウケるように力を付けるので
いつかまた逢いましょう。