インスタ映えバナシ
アートアクアリウム2017
前回の『6000円のステーキ食べ放題バナシ』で高級ステーキ食べ放題ランチを不甲斐ない結果で終えたあと、パーパー山田がバイトのため離脱した。暇を持て余した僕たちは、同じ暇を持て余し仲間のデリケート横関を召集した。
ありがたいことに横関はこれから行く場所のプランをいくつか考えてきてくれたらしいので聞いてみると
「スカイツリーのプラネタリウムか、日本橋のアートアクアリウムなんてどうでしょう?」
デートプランかよ。語尾に「リウム」が着く場所は基本的に男3人で行くような場所じゃない。すると酒井が
「日本橋のアートアクアリウムはたくさんの金魚をおしゃれに展示していて、インスタ映えすると話題のスポットですね」
なんで詳しいんだよ。ただ、それを聞いた僕は「インスタ映え」という言葉に食いついた。僕のインスタグラムは『ツイッターの劣化版』みたいなことをしているせいで全くフォロワーが増えず、
現在のフォロワーは568人。つい先日も高校時代の同級生から
「おまえのインスタ、芸能人とは思えないほどフォロワー少ないな」
と、『インスタグラムのダイレクトメッセージ経由』でディスられたばかりだ。今日を機に立派なインスタグラマーになろう。そう決意した僕たちは日本橋へと向かった。
インスタ萎え
いざアートアクアリウムに到着すると、夏休みということもあって大変賑わっていた。ほとんどのお客さんがスマホ片手に展示を撮影しており、その姿を見た僕たち底辺インスタグラマーは
「先輩方に続くぞ!」
と、気合いが入った。ちなみに男3人のグループは僕たちしかいなかった。
まずはこちらの八角形のオブジェ。暗い中に輝く鮮やかな光、そしてその中を優雅に泳ぐ金魚がインスタ映えに拍車をかけている。もう少し近づいて撮ってみようとしたところ
台無しである。酒井が作品の一部になった瞬間、一気にインスタグラムから遠のいた。インスタ萎えだ。
どういう感情なんだよ。せめて喜怒哀楽のどれかで写れ。
「待てよ…きっとこれは酒井だからダメだっただけで、他の人ならインスタ映えするのでは?」
そう思って僕が後ろに回り込んでみると
お?
どうだ!?
『休日の爆弾魔』じゃねーか。主人公を振り回して楽しむタイプだろ。
「フッフッフ…その解除コードはダミーだ」
映えない僕ら
その後は気を取り直してインスタ映えする写真を撮りまくることに成功した。展示自体がとてもキレイだったので普通に撮るだけでもいい仕上がりになる。
しかし、少しでもエゴを出した途端
同じ轍をベタ踏みする形となった。容量の無駄遣いとはこのことである。
振り回された結果
こうして『アートアクアリウム2017』を存分に楽しんだ僕たちだったのだが、これで終わりではない。先ほど撮った写真をインスタグラムに投稿することで初めてミッションは完了する。
ワクワクしながら渾身のインスタ映え写真を投稿した。しかしそれから一週間ほど経ったが、全くフォロワーが増えることはなかった。話が全然違う。
「クソ、僕たちはインスタ映えという言葉に振り回されただけだったのか…」
そんなことを思っていると、やつが僕に語りかけてきた。
「フッフッフ…実に滑稽だな…」
おまけ
爆弾魔待ち受けにすんな!