トンツカタン森本バナシ

プロダクション人力舎所属、トンツカタン森本のブログ

相方の結婚式で余興やったバナシ

相方の結婚式

今年の5月に相方の菅原の結婚式に参加した。家族でも友人でもない、相方の結婚式というのは独特なもので、「お幸せに」という感情と、その幸せをサポートするためにも「お笑いがんばらなきゃ」という感情がわき上がった。式自体もとてもすばらしかった。

「よし、やるぞ」

芸人の結婚式ということもあり、菅原が選抜した人力舎の若手芸人が余興を担当することになった。しかし、みんな普段は漫才やコントなどのネタはやり慣れているものの、こういった余興という舞台に立つことはほとんどない。そのため、人力舎芸人のテーブルは出番前特有の不安と緊張に包まれており、周りのどのテーブルよりも暗かった。これから笑いを取る人間の顔じゃなかった。

特にロマン峠さんの緊張っぷりがすさまじく、ショートコントを4本やる予定らしいのだが少しでも時間が空くと

「よし、やるぞ」

と言って入念なネタ合わせをしていた。ロマン峠さんの周りだけ『賞レース準決勝の空気』が漂っていた。

そうこうしているうちに始まった余興のコーナー。司会は僕と相方の櫻田が担当した。

ゆめちゃん

まず始めに登場したのは同期の女性芸人ゆめちゃん。ディズニーの歌をミュージカルバージョンで披露した。突然歌い出した謎のぽっちゃりとした女性に初めは会場中が「なんだ?」とざわついていたのだが、演劇やミュージカルに多数出演しているゆめちゃんのパフォーマンスにどんどん会場が惹き込まれていき、気づけば全員が見入っていた。全員がゆめちゃんの虜になっていた。そして歌のクライマックス、ここで大盛り上がりというところで

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まさかの菅原乱入。しかし、もうみんなゆめちゃんが見たくてしょうがなかったのであまりウェルカムな雰囲気ではなかった。新郎なのに煙たがられていた。

二人が歌い終わると、拍手喝采が起こった。最初はみんなの頭上にハテナが浮かんでいたのに、数分後には心打たれていた。この流れ、どこかで見たことあるなと思ったら『スーザン・ボイル初登場』と全く同じだった。

リンゴスター高野さん

続いて登場したのがリンゴスター高野さん。新郎新婦の二人に、『今後の結婚生活で役立つ恋愛格言』をフリップで紹介するというネタを披露した。偉人の格言に時折自分のオリジナル格言を混ぜて笑いを取りつつ、最後の格言を紹介したあと、「この格言を言ったのが…」とフリップをめくると

「新婦のお父様です!」

この瞬間「おぉぉーー!!」という感嘆の声とともに会場が拍手で包まれた。どうやら事前に取材をして準備をしたらしい。正直言って完璧な構成だった。舞台袖でロマン峠の二人がつばを飲み込む音が聞こえた気がした。

三福エンターテイメントさん

続いて登場したのが三福エンターテイメントさん。三福さんはこれの前におそらく結婚式史上初の『仕送りをもらっている人間による主賓挨拶』を済ませており、大忙しだった。そんな三福さんが披露したのが『祝い壁』。普段壁を使った芸を得意とする三福さんが、二つの壁を使ってハートマークを作るという粋な余興だ。

音楽とともに始まった祝い壁だったのだが、もう少しでハートマークが完成するという時に

「わぁーーー!!!」

と、3才くらい男の子が乱入してきた。そんな予期せぬかわいいハプニングに会場は沸きに沸いた。菅原の乱入とは大違いだった。

その後、気を取り直して『祝い壁』を再開すると、またしても完成間近に

「わぁーーー!!!」

と男の子乱入。先ほどよりも盛り上がる会場。これに対して三福さんも

「次はもう絶対乱入しちゃダメだからね!絶対だからね!」

味を占めるな。あんな小さい男の子相手にボケを振るんじゃないよ。

こうして数回乱入されるという最高のパスをもらい、三福さんの祝い壁が完成した。終わったあと三福さんに話を聞いたら

「最近の素人はお笑いをわかっている」

いや3才の男の子を素人と呼ぶな。

ロマン峠さん

そしてやってきたロマン峠さんの出番。緊張した面もちでショートコントを披露し始めたのだが、しばらくしてとある異変に気づく

「この人たち、緊張しすぎてショートコントを区切ることを忘れている…?」

複数本やるショートコントは一つ一つを区切るためにオチのあとに「ありがとうございました」や「続きましてー」と言うことが多い。しかしロマン峠さんはショートコントの練習はしたものの、区切る練習をしてなかったから飛ばしてしまったようだ。どんな飛ばし方だよ。

特殊なショートコントの進め方をしたせいで、おもしろさがあまり伝わることなく終了した。終わったあと平岡さんに「区切るの忘れてましたよね?」と聞いたら

「そうなの?全然気づかなかった」

いくらなんでも緊張しすぎだろ。どっちかはのびのびとしててくれよ。

トンツカタンでネタやろうぜ!」

こうして余興のコーナーを締めようとしたら、菅原が急に席を立ち

「ちょっと待った!トンツカタンでネタやろうぜ!!」

乱入癖でもあるのかこいつは。新郎が言った手前断ることもできず、我々は急遽『カタコト塾』というネタをやったのだが、誰もなにも飛ばしてないのに全くウケなかった。『新ネタライブで昔のネタやってる』みたいな空気になった。

防衛本能

若干水を差してしまった罪悪感を覚えながらも、式は笑いと感動に包まれ終了した。帰りはロマン峠平岡さんと一緒だったのだが、隣で自分のアゴを一通り触ったあと

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「あーやっぱり。見て、今日スベったからもうヒゲ生えちゃってるわ」

普段からヒゲの濃い平岡さんは、スベると防衛本能でヒゲの伸びるスピードが早まるらしい。

 

のびのびとしてはいたんだ。