深夜の大江戸温泉物語バナシ
「大江戸温泉物語行かない?」
一昨日の23時に三四郎の相田さんから
「いまから大江戸温泉物語行かない?」
という『本来は日中に送るべきLINE』が届いた。久しく温泉に行ってなかった僕はその誘惑に耐えられず、ご一緒させていただくことにした。深夜のテンションも相まってちょっと急いで向かった。
小走り
いったん相田さんのお家に集合ということになったのでお邪魔した。他に誰か来るのか聞いたところ
「いまゾフィー上田が小走りで向かってる」
やはり早く合流したいという思いが僕と上田さんをいつもより『ちょっとだけスピーディ』にさせていた。しばらくテレビを見ながら待っていると
「お疲れさまです!いやー小走りで来ましたよ!」
と、上田さんが『息切れゼロ』で現れた。絶対中盤以降歩いてきただろ。すると続けて上田さんが
「みなさん飯食いました?僕飯食ってないから腹減ってて。食いたいなー、飯!」
ゾフィーさんが『キングオブコント』で披露したコントのスピンオフに巻き込まれたのかと思った。大江戸温泉物語に行けば食べ物あるからと言い聞かせ、一行はお台場へと向かった。
「知らねー」
上田さんと僕は大江戸温泉物語に行くのが初めてで、以前行ったことがあるという相田さんにいろいろと質問してみた。
「温泉は広いんですか?」
「知らねー」
「前回いつごろ来たんですか?」
「知らねー」
「着いたらなに食べます?」
「知らねー」
後輩にオラつくな。久しぶりであまり記憶がないことを『オラオラで相殺』しようとしていた。
346番
そんなこんなで大江戸温泉物語に到着した僕らは、上田さんのお腹を満たすために軽く腹ごしらえをしたあと念願の温泉に入ることに。脱衣所でずらりと並ぶロッカーを目の当たりにした相田さんが
「346番どこだー?」
三四郎(346)のロッカー番号を探すという『コンビ組み立てあるある』みたいなことをしていた。結局なくて全然関係ない番号のロッカーを使っていた。
サウナマスター
深夜で人も少なかったため、ほぼ貸し切り状態の温泉を楽しんでいると上田さんが
「みんなでサウナ入りましょう!」
と言うのでサウナに入ることに。実は上田さんは週に2,3回は通うほどのサウナ好きで、サウナ初心者の相田さんと僕にその魅力を知ってほしいとのこと。
「俺の周りの人間はみんなサウナにハマってったよ。わらふぢなるおのなるおさんなんてもう一人で勝手に行ってるからね」
勝手にってなんだよ。許可制みたいに言うな。しかし、サウナを楽しみたい気持ちはあるので上田先生のレクチャーを受けることに。まずは7分ほどサウナに入り、その後水風呂へ。上田先生いわく、水風呂に浸かったまま体を動かさずにいると冷たさを感じなくなり、むしろ温かいとさえ思えるという。
「どう?全然冷たくないでしょ?」
僕はいつまで経っても冷たかったので
「いや、めちゃくちゃ冷たいです」
と答えると
「それは森本くんがまだ水風呂に対してツッコミのスタンスでいるからだよ。だから水風呂の方も冷たいっていうボケになっちゃってるんだ」
「………」
「………」
妙な空気にしたあと、上田先生は鼻をつまんでゆっくりと水中に潜っていった。『水属性モンスターの逃げ方』すんな。
打ち切り
上田さんの世迷い言によりサウナの魅力が伝わらないまま温泉を出た僕らは再び施設内の居酒屋に寄ろうとしたのだが、時間も時間だったためすべてのお店が閉まっていた。一軒くらい空いてるだろうという慢心が招いた完全なるリサーチ不足である。
「……帰るか」
こうして僕らの物語はあっけなく幕を閉じた。
温泉を出るまであんなにテンション高かったのに、現実が立ちはだかって一気に冷めてしまった。
サウナのスピンオフかと思った。