ひとりにゃんこスターをやったバナシ
地獄ショートメッセージ
昨日『154』というライブにピンで出させていただいた。いや、厳密に言うと出させられた。『154』とは
磁石佐々木さん
ダブルブッキング川元さん
マツモトクラブさん
の4人によるユニットライブで、新ネタの漫才やコントを次々にやるというわりかしストイックなライブである。前回僕はオープニングアクトとしてアキラ100%さんの格好で開会宣言を英語でさせられた。
シンタロウ100%をやったバナシ - トンツカタン森本バナシ
そして今回もオープニングアクトとしてのオファーを佐々木さんからショートメッセージでいただいた。ちなみに僕はこの人とこれ以上距離感を詰めたくないのでLINEは教えないようにしている。オープニングアクトと聞いた時点で嫌な予感しかしないのでスケジュールが埋まっていれば絶対に出ないつもりでいたのだが、こういう時に限ってなぜか空いてしまっている。次こそは別の仕事を入れて断ってやると心に誓いつつ、渋々出ることにした。
「今回はなにすればいいんですか?」
「ひとりにゃんこスターで開会宣言」
『ひとりにゃんこスター』をありものみたいに言うな。そしてそれ以上の情報はもらえないまま、当日を迎えた。
ダブルイレギュラー
前回はスタッフさんが蝶ネクタイやお盆など、アキラ100%さんなりきりセットを用意してくれていたので、今回もそのつもりで会場入りするとスタッフさんから
「こちら、渡しておきます!」
と、なわとびを一つ渡された。
「あれ?これだけですか?衣装とかって…」
「あ、これだけですね」
最低限すぎる。これじゃただの『なわとびを持った森本』だ。急にとてつもない不安に駆られた。そしててっきり僕がスーパー3助さんの役をカバーし、エアーのアンゴラ村長に向かってツッコむのかと思っていたら佐々木さんから
「ひとりで2役やって」
この人、お笑い見たことないのか?なわとびを跳ぶ想定をしていなかった僕は急きょ『なわとびを練習する時間』を設けた。連続するイレギュラーからくる不安をかき消すかのように黙々と跳んだ。
本番
そうこうしている内にライブが始まった。明転した舞台になわとびを握りしめながら意を決して飛び出した。
「わーい!!おいらはなわとび大好き少年だよー!!」
違う。おまえは『宣材写真と同じ衣装を着たプレーンな森本』だ。お客さんもまずそれを飲み込むのに必死だったと思う。なぜなら『ひとりにゃんこスター』と呼び込まれて出てきたのが
なわとびを持ったこいつなのだから。しかし、立ち止まっているわけにもいかないので『ついていけないお客さんは置いていく』というストロングスタイルでネタを続ける。
「こんなところでリズムなわとびの発表会をやっているよ!!おいらがやらなきゃ誰がやるってんだい!!」
情緒がおかしい。発表会を見つけて乱入しようとしている。最もタチが悪い『フットワークの軽い変質者』じゃないか。そしてここからアンゴラ村長としてなわとびを飛びながら
「あら!!かわいい男の子が来たねー!!いい脚してるねー!!」
急な自画自賛。人格どうなってんだよ。冷静になれば違和感しかないが、大塚愛さんの『さくらんぼ』をバックに無心で跳び続けた。
「こんなに跳んでたら、サビどうなっちゃうのーー!!??」
そしていよいよやってくるサビ。僕はなわとびを床に投げ捨て、両手をグーにして踊りながら
「跳ばなーーーい!!!なんで!!!サビで!!!跳ばないのーーー!!!???」
おまえ次第だろ。おまえが一番跳ばない理由知ってるはずだろ。もはや『脳を乗っ取られている』くらいの理由がないと腑に落ちない破綻っぷりだ。
そして最後は舞台袖にハケ、『154スタート!』と書かれたフリップを持ってきてピョンピョン跳ねながら
「154スタート!」
と言って暗転した。ちなみにこの間奇跡的にずっとなわとびが足に絡まったままだったので歩くたび『なわとびの持ち手が奏でる不愉快なノイズ』が会場を包んだ。
ひとりにゃんこスター、完
こうして僕のひとりにゃんこスターとしての開会宣言が終わった。本家にゃんこスターさんにもお客さんにも申し訳ないほどクオリティの低いものだったが、短い時間だったのでなんとか逃げ切ることができたと思う。
あれ以上長くやっていたら客席から
怒声が跳ぶところだった。
おまけ
地獄リハの様子