トンツカタン森本バナシ

プロダクション人力舎所属、トンツカタン森本のブログ

2000円宣言バナシ

芸歴5年目

早いもので僕の芸歴も5年目になり、後輩も増えてきた。事務所ライブのひとつである『バカ爆走!』では、5月から芸歴5年目以下しか出られないというシステムに変わり、一番先輩として出させてもらっている。

そうなると問題なのがライブ後のご飯である。同じ5年目の同期以外は後輩なので、立場的に奢らなければならない雰囲気が漂う。それに加え僕は上手に後輩を誘うのが苦手で、以前2人くらい誘ってご飯行こうかと思ったら結果的に9人の大所帯になったことがある。これを全員奢るとなるととんでもない出費になってしまう。ちなみにその日は

「みんなはどういうきっかけで芸人になったの?」

という質問をしたら全員が答え終わるまでに1時間かかった。

2000円宣言

『バカ爆走!』には毎月3~4回出ているので、稼ぎのない若手芸人が毎回奢るのは非常に厳しい。でも後輩とはご飯に行きたい。そこで僕がたどり着いたのが『2000円宣言』である。読んで字のごとく、後輩をご飯に誘うとき前もって

「僕は2000円しか払わないけど、それでも大丈夫か?」

と確認し、『プライドと引き換えに出費を減らす』という荒技だ。あらかじめ伝えておくことによってお会計時の気まずい空気を回避できるというメリットがある。

革命の夜

先日、『バカ爆走!』終わりに後輩の吉住、卯月の酒井、デリケート横関を誘ってご飯に行ったときの話。僕がいつも通り

「僕は2000円しか払わないけど、それでも大丈夫か?」

『2000円宣言』を炸裂させると、芸歴3年目の吉住が

「では私も2000円払います」

初の『2000円宣言返し』をされた。この時点で先輩と後輩の払う金額が同じという歪みが発生したのだが、それに対し芸歴2年目の卯月の酒井が

「今日親からお金もらったので、3000円出しますー。へっへっへ」

なんでだよ。『親のお金で革命』を起こすな。そんな中、同じく芸歴2年目のデリケート横関はというと

「………」

無言を貫き、『森に潜むプレデター』くらい気配を消していた。

宣言あるある

そんなこんなで僕らは牛タン屋さんの『ねぎし』に入った。それぞれが定食を頼む中、卯月の酒井が

「定食とビールと、追加で牛タンを頼んじゃいますー。へっへ」

豪遊しだした。こいつ、なるべく個人で3000円に近づけようとしている。僕も2000円宣言の時は普段より少し高めのものを頼んでしまうので、めちゃくちゃ共感した。

酒井の異変

おいしい定食を楽しんでいると、酒井の食べるペースがだんだんと落ちていった。なんなら追加の牛タンに手をつけてすらない。どうしたのか理由を聞くと

「うぅ…ライブ前にカレー食べちゃったの忘れてましたぁ~」

どういうミスなんだよ。脳か胃袋どっちかしっかりしろ。

牛タンの配布

酒井がもう食べられないということで、みんなで彼の追加牛タンをいただいていると、

「本当はあげたくないですよ~…!!くそぉ~~…!!」

と半泣きで嘆き始めた。地獄絵図である。僕の2000円宣言のせいで『後輩が泣く泣く牛タンを振る舞う』という悲劇が起きた。そんな悲しい牛タンでもおいしさは変わらずだった。ねぎし最高。

 

その後僕らは宣言通りの金額を支払い、店を出た。いつか宣言などせず、後輩たちに好きなだけ牛タンを食べさせてあげられるようがんばろう。

 

そのときの達成感は、

 

筆舌に尽くしがたいだろう。